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『寺島浴場の怪人』開幕します! [劇団のこと]

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先々週から始まった『寺島浴場の怪人』の稽古期間は、あっという間に終わりました。
7年前に書きおろした脚本のリメイク作品とはいえ、会場は違う銭湯ですので、
かなり書き変えた部分も多く、前回公演の経験者も僅か2人なので、
ほぼ新作と言っても過言ではない感触の稽古場でした。
それでありながら、やはり再演のメリットも確実にあって、
僕自身ですら初演で発見できなかった多くの解釈が眠っている作品でした。
最終稽古となった今日もまた新たな発見があり、
脚本のなかに登場する人物たちは、架空とはいえ、れっきとした人格があり、
それぞれにいろいろな葛藤を秘めているのだなあということを感じました。


今回初めてご一緒する小名木美里さん、蜂谷佳純さん、塚野あゆみさん、
まるでこの人たちに演じてもらうために「あて書き」したのではないかと思われるくらい、
キャラクターばっちり、三者三様の個性が満開です。

そしてシアターキューブリック常連の客演、工藤理穂とささきくみこさん。
『誰ガタメノ剣』『長宗我部珈琲店』『宇宙をskipする時間』
『てのひらに眠るプラネタリウム』『七人みさき』に出演してくれた工藤理穂は、
緑川が紡ぐ、けっしてストレートではない、難解な言葉を繰り出す人物が多数出てくる物語を、
主演俳優として、静かに、深く、掘り下げてくれています。

『宇宙をskipする時間』『七人みさき』、そしてローカル鉄道演劇の
『ひたちなか海浜鉄道スリーナイン』に出演してくれた、ささきくみこさん。
毎度、空間全体を巻き込む軽妙なリズムで、お芝居の軸を作ってくれています。

片山耀将、千田剛士、榎本悟のシアターキューブリック男優陣は、
僕が描く作品世界の根底に常にべったりとこびりついている「男のカッコ悪さ」を
今回もリアルに表現してくれています。(あるいは彼らそのまんまなのかも知れませんが(笑))。

シアターキューブリックは、時代劇や鉄道演劇も含めて、
大人が楽しめる「ファンタジー」の物語を作り続けてきました。
そんな僕たちが下町の銭湯で紡ぎ出す音楽劇。
銭湯というザ・日常空間で、この日だけの非日常を心ゆくまで楽しんでほしいと思います。


そして、ステージによっては観劇の前に東向島のまちあるきを行なう回があります。
ただ単純に、会場周辺のまちをご案内するのではなくて、
お芝居で繰り広げられる世界を、みなさんの足で歩いて探検して、
お客さんの体全部でお芝居の世界を堪能してほしい、という時間です。
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寺島浴場周辺は、かつては「寺島町」「玉ノ井」と呼ばれた地域で、
戦前は歓楽街として賑わった歴史があり、
街のあちこちにこの地域が歩んできた歴史の痕跡が残っています。
この街の匂いを感じてから観る『寺島浴場の怪人』は、
おそらく皆さんの細胞の、より深いところに何かを訴えかけるに違いありません。

そして、お芝居が終わった30分後には寺島浴場がオープン。
下町のお風呂に浸かって、心も体もリフレッシュして、
まるまる一日、下町情緒の魅力を楽しんでほしいと思います!

いよいよ9月30日。7年ぶりの銭湯演劇『寺島浴場の怪人』開幕です!!
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今月のお題「『寺島浴場の怪人』の必需品!」 [きゅ~め~る今月のお題]

毎月9日は、「9」と「キュー」で、「キューブリックの日」。
劇団メルマガ「きゅ~め~る」の配信日、毎月9日は、
各自が持っているブログで全員が同じお題で記事を書く、
という11年も続いている企画の日でありまして、
今回は3週間後に迫った7年ぶりのシアターキューブリックの銭湯演劇に因んで、
「『寺島浴場の怪人』の必需品!」というお題でブログを書きます。

今回の作品は2010年6月に上演した『曳舟湯の怪人』のリメイク公演。
『曳舟湯の怪人』は、劇団のホームグラウンドを墨田区に移して、
演劇と地域の協働を本気で考え始めた一番最初の公演でした。
しかも、生まれて初めて「銭湯」で上演するお芝居というだけあって、
上演する銭湯のお風呂に毎日浸かって、
作品としてどこを目指して何をすればいいのか、毎晩考えたものでした。
東京の銭湯はお湯が熱めなので、長湯するのも大変でしたね(笑)

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ウチのすぐそばにも銭湯があって、
家を建て替える前は自宅にお風呂がなかったこともあり、子供の頃は銭湯通いでした。
だからなのでしょうか、銭湯に行くと、子供の頃のことをよく考えます。
そして、なるべくして『曳舟湯の怪人』は子供の頃の記憶のお話になりました。
その作品のリメイクが『寺島浴場の怪人』です。

記憶って不思議なもので、
何年経っても鮮明に覚えていて、しばしば思い出す記憶もあれば、
ある時、不意に思い出す記憶もあって、脳みそっておもしろいなあって思います。
『寺島浴場の怪人』は、この「不意に思い出す」ほうの記憶のお話です。
自分でもほとんど気にかけていなかった記憶なもんだから、
断片的で、本人のほうがその記憶に翻弄されるんですよね。
自分がその記憶のどこに、どんなわだかまりを持っているか、
そのことさえ自分でよく分からない、というか思い出せない……。


というわけで僕が考える必需品は、「みなさん自身」ですかね。


みなさんもそれぞれ何十年も休まず生き続けているので、
自分の奥底に眠っている記憶というものが、
どれだけあるか分かりませんね。
とてつもない数の記憶と、とてつもない感情量が眠っているんだと思います。
人ってすごいです。生きていることってすごいです。
憶えていることも、忘れることも、おもしろい。

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寺島浴場がある墨田区東向島は、昔ながらの路地が多く残る街です。
細い路地を走るちびっ子たちは、みなさんを子供時代に連れていってくれます。
キューブリックメンバーのナビゲートによる東向島まちあるきをご用意した回もあります。
『寺島浴場の怪人』に登場する人物たちが駆け回った街を歩いて、
そして銭湯での演劇をご覧いただいて、それから、広い湯舟に浸かる!
なんという贅沢な、そして不思議なお芝居の楽しみ方でしょう!!(←自画自賛)


その場合……
12:00~13:00 東向島まちあるき
13:00~14:00 ランチタイム (13:40開場)
14:00~15:00 ★お芝居タイム★
15:00~15:30 一服
15:30~ お風呂タイム
という感じの流れですね。書き出しただけでウキウキしてきましたよ!



僕も今回の脚本を書きなおすにあたって、
地元の墨田区を歩き歩いて、知らなかった魅力をようやく発見したりしています。
演劇はこうやって、自分自身をふわっと豊かにしてくれるんですね。
あらためて自分のお仕事に感謝です。
シアターキューブリック7年ぶり2回目の銭湯演劇
『寺島浴場の怪人』、とても楽しくふんわりとした一日を過ごせると思います。
ぜひぜひ、ご覧ください!

キューブリックのみんなが書く「『寺島浴場の怪人』の必需品!」は何かな?
メンバーのブログには劇団ホームページトップからどうぞ! http://www.qublic.net/

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台所で決壊 [日々雑録]

自宅の台所の机で仕事をしながら、ボタボタ涙を流して泣きました。

目下、脚本執筆中で基本的に気持ちに余裕が無い毎日を送っているのですが、
それでも前回のブログにも書きました通り、自身のルーツに再度向き合うべく、
岡村孝子さんの音楽を昔から直近のものまで全て「再インストール」している最中で。


ただ、僕の詰めの甘さといいますか、何といいますか、
昨年リリースされましたベストアルバムがあるのですが、
自分が既に持っているアルバムと収録曲が重複しているであろう、
ということでまったくのノーマークでした。
しかし、よく見てみると、
2枚組アルバムの2枚目のいちばん最後の最後の見慣れないタイトル、
「新曲」とあるではないですか。
遅まきながら、手に入れましたとも。

最後の曲は「Hello」という曲です。


紡がれている言葉、旋律が僕の琴線を攻撃してくるのは毎度のことですが、
2コーラス目のサビで、「突如」です、突如、辛島美登里さんの、
そして、さらにその後、平松愛理さんの声が襲い掛かってきた時、
脚本を進めるべくパソコンのキーボードを打っていた僕は、声も出さずに号泣しました。


岡村孝子さんといえば「あみん」で、
パートナーの加藤さんとは一心同体のような印象で、ハモリも絶妙な調和ですが、
今回突然現れた辛島美登里さんや平松愛理さんは、
それぞれの長いソロ活動で活躍し続けてきたビッグアーティスト。
そのお二人が岡村孝子さんの曲に出てくるという、普通では考えられない作品。
声も歌い方も、それぞれの個性が炸裂していて、であるのに、
加藤さんとの絶妙なハーモニーとはまったく趣が異なる調和、まさに「共演」。
また、歌のテーマが、「頑張り続けてきた人たちへのエール」のような内容で、
長い時間のなかで人と人がめぐりあう奇跡を讃えているのですが、
歌詞だけでなく、旋律だけでなく、
お二人の存在そのものがテーマと完全に結びついていました。
いつも自分の周りにいて支えてくれている人たち、
そしてこれから出会うかも知れない人たち、
その「有り難さ」を問答無用に突然突きつけられた、そんな感じです。

僕はまだ、人生の酸いも甘いも経験し尽くした、とはとても言い難い未熟者ですが、
自分なりに山あり谷ありの時間をここまで送ってきて、
仲間との出会いや別れを繰り返し、そして今も素敵な仲間に囲まれ、
息を切らしながら、今も、次の山を越えようと悪戦苦闘の日々です。

そんな折に出会った、この曲、この言葉、そしてこの声でした。



曲のなかの一節です。

「あなたとめぐりあって 喜び分かちあって
このきらめき 胸にきざみ 明日へ歩いていく」



世の中にはたくさんの刺激的で有名な音楽があって、
それらと比べれば、岡村孝子さんの音楽はとても平穏な印象があります。
ですが、食べてみて、あるいは食べ続けることで
ようやく分かる味や食感というものが確実にあります。
まるで、するめいかのようです。

今もお餅が胸につかえているみたいに、胸が苦しいです。
それくらい、僕の心に深い爪痕を残す音楽。
僕の細胞はやはり、この人の言葉と旋律で出来ているようです。

この曲は、ベストアルバム「DO MY BEST II」の最後の曲として収録されています。

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